女夫石(めおといし) 角田市藤尾
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三
年程前、角田市図書館で一冊の本に出会いました。その本の名前は「藤尾の里の伝承と史談」。著者は保志淳一先生です。その中に、女夫石(めおといし)の記述がありました。
●
藤尾の里の伝承と史談
によりますと
「女夫岩(※ここでは石ではなく岩の文字が使われている。)
四方山の南西「舘の森」から更に北西に下る尾根の端、即ち山上堤の上(山上一番地)元松前家の山林内に牛の伏している形をした二つの岩石が並んでいる。昔は明通の亀石に対して牛石と呼んだという。東山の地中には花崗岩の脉(すじ)が通って居り、所々に露出している。
亀石
も牛石もその一つで土中では広く連なっているものと考えられる。
牛石の露出している部分は東と西と二つ対向しておりその間は僅か50センチメートル足らずである。東の岩石は高さ1.5メートル長さ2.6メートル、西の岩石は高さ1.4メートル長さ2.5メートルで、東が西より僅かに大きい。
昔(文化の頃か)一人の石工が、石碑を作る石材にしようとこの石を割ろうとした。石切り道具を持って近づくと、東西両岩の間から声が出て「めおと、女夫」と呼ぶのが聞こえた。石工は驚いて割るのを止めて帰宅したという。
この話を聞いた土地の人々は、この岩石を夫婦と呼ぶようになった。」
●女夫石に関しては「
郷土の伝承
」「
伊具郡誌
」も同様な話が収録されているので省略致します。
●
鎮守の森 悠久の愛を紡ぐ
によりますと
「伝承 女夫石
女夫石は藤田字六郎田の山林にあり両石の間僅かに一尺五寸余り東西対向せり、故に名づけて女夫石と言う。東側の石の高さ五尺、長さ八尺五寸。西側の石の高さ四尺五寸、長さ八尺三寸。其の土中に埋もれし所は察し難くその状態はあたかも臥牛の如く、口碑によれば、昔時一石工あり。この石を割らんとしたるに声あり「女夫、女夫」と言う石に驚き割ることを止めたりと言う。藤尾村誌(昭和七年刊)(※読みやすく訂正しました)
舘の森から里に下る雑木林の尾根の西に牛を臥した形をした二つの大きな石が並んである。
昔は明通峠の
亀石
に対して牛石と呼んだと言う。舘の森は前九年の役(1051〜1060)に陸奥の豪族阿部頼時を攻略に進む政府軍の源頼義、義家親子の進攻をを見張り味方に知らせる拠点であった。この戦いに村人の中から逞しく血気盛んな若者たちは兵士として参加していた。
その中に六郎太がいた。六郎太は物見の役(敵情を調べる斥候)として山中を駆け巡っていたが戦いは押されぎみの激しい戦いの最中に矢に当たり討死したと言う。
六郎太には末は夫婦にと硬い約束をしていた恋仲の色白で美しい村娘「おふじ」がいた。おふじは六郎太の安否を誰よりも心配していたが、六郎太の死を知らされ山中で変わりはてた姿に嘆き、悲しみ、亡骸(なきがら)に縋(すが)り泣き通して離れることはなく、そのまま大きな石に化したと言う。その後はいまなお六郎田山林に咲く山藤の花は白い花が多いと言われている。」
この悲しい伝説を読み、おふじの胸中を思うと涙を禁じえませんでした。そんな女夫石へ行って来ました。
女夫石の絵
藤尾の里の伝承と史談にあった女夫石の絵。
伊具郡内にこんな素敵な石があろうとは!
女夫石への道 その1(平成21年2月)
「藤尾の伝承と史談」の中にあった女夫岩への地図
手書きの地図のため、いまいちわかりずらい。
本の中にあった女夫石の住所「山上堤の上(山上一番地)」があったので地図で調べて行ってみました。
問題の山上の堤
女夫石がどこにあるのかわからないので近くの方に聞いてみた所
「俺も行ったごどねえからわかんねけど、だいたいあの木の下あたりにあるんじゃねぇの?」とのことで、とにかく行ってみました。
ためいけの近くはきけんですので遊ばないで下さい。
矢印の通りに進んで行きました。
途中にあった素敵な廃車。
マツダ製の軽トラ、ポーターキャブ。昭和に匂いがします。
運転席に笹が・・・・
植物の力は凄いですね。
気を取り直して、山上堤の左側に道があったので矢印の通り進んで行きました。
比較的登りやすい道です。
目印である木の周辺を探してみましたが石らしい石を見つけることができませんでしたので引き返しました。残念!
蔵王から吹きすさぶ風がやけに冷たい女夫石探索でした。
リベンジ女夫石への道 その2(平成22年3月)
昨
年は女夫石を探すのに失敗し、どうにかならないかと考えていましたら、藤尾にある喜松院の方丈さまとお話する機会ができました。その時に、「女夫石へ行きたいのですが、何とかならないでしょうか?」と聞いたところ、「荒川さんならわかるのでは?」とのことでしばらく連絡を待っていたのですが、檀務が忙しいらしくお会いする機会がなかなかありませんでした。幸い私は荒川さんの娘さんのことを知っていたので直接、交渉して女夫石へ行く約束をこぎつけることができました。
矢印の通りお進み下さい。
しばらく進みますと、少し開けた所が見えてきます。
ひたすら矢印の通りお進みください。
念願の女夫石
色々な方を通じ、やっとあなた達に出会うことができました。
西側にある石。高さ1.4メートル長さ2.5メートル。
東側の石。高さ1.5メートル長さ2.6メートル。
下から見たところです。石と石の間は僅か50センチメートルだそうです。
長い年月を感じさせる苔。
苔の拡大写真。
山上堤より再度挑戦!
荒川さんより、山上堤からでも行けるとのことで、再度挑戦してみました。
矢印の通りお進みください。
山上堤の脇を登って行きます。
道があるのでわかりやすいです。
昨年、女夫石を見つけることができずに引き返したところです。矢印の通り更にお進み下さい。
昨年引き返したところより、約50メートル進んだところに女夫石がありました。
女夫石を見つけるのに目印となる杉の木。
山上堤から見た杉の木。
杉と松の木が目印です。
女夫石と
写真に写っている方は、荒川庄助氏。
東側の石と私
最後に
六郎太とおふじさん、これからもずっとお幸せに・・・
地元の人にもわかりづらい所にあります。
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