坐禅のすすめ

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坐禅の目的とは

坐禅に対するアンケートを取ったところ
 
坐る目的がわからない
 
というのがありました。
 
道元禅において坐禅は何かを求めるための手段ではありませんし、目的を追い求めることもありません。道元禅師は「只管打坐」すなわち身を正しくして、ただひたすら坐りなさいとおっしゃっております。

あえて効果を考える

いきなり「ただひたすら坐りなさい」といわれても、坐禅を始める方にとってわかりずらいと思います。
 
本来であるならば坐禅に効果を求めてはならないのですが、これから始めたい方のためにあえて効果について考えてみました。
 
坐禅の効果を話すにあたってメラビアンの法則というものがあります。
 
アメリカのUCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)のコミュニケーションの先生に、アルバート・メラビアンという方がおります。
 
メラビアンは、コミュニケーションを構成するのは言葉だけではないといいました。
 
コミュニケーションを構成するのは

1.言葉(何を言うか)
2.話し方(声の調子 高低 音色など)
3.ボディランゲージ(態度 姿勢 身振り 顔つき 外見 視線 服装など)

   
の三要素があり、この三要素のうち、どれがどのくらい重要で、インパクトが強いか実験してみたそうです。
 
その結果わかったことは、人と人とのコミュニケーションにおいて、言葉の果たす役割はわずかに7パーセント、声の部分が38パーセント、そして見た目、ボディランゲージが55パーセントを占めるということでした。
 
言葉の果たす役割が7パーセントという事ですので、それ以外の要素、つまり声の部分と見た目の部分、これを専門用語でノンバーバル・コミュニケーション(非言語コミュニケーション)といいますが、これが93パーセントのインパクトを持ってしまうということです。
 
ということは、他人とのコミュニケーションにおいては、何をいうかよりも、どのようにいうか、どのように見えるかという視覚的な面が非常に重要であるということです。
  
 

メラビアンの法則

坐禅の姿

言葉や話し方よりボディランゲージの方が強い例を挙げてみます。
例えば、アフリカの言葉は日本人である私にはわかりませんが、アフリカ人が肩を震わせて泣いているとしたら、言葉はわからなくても、泣くというボディランゲージ(態度)ですぐに誰でも理解できると思います。
 
笑顔は世界の共通語といいますが、これもボディランゲージのひとつではないでしょうか。
 
ここで実験です。手を合わしている子供の写真があったとします。
あなたは落書きできますか?
 
おそらく大多数の方が落書きはできないと思います。落書きをするのは申し訳ないという感情を起こさせるからです。
すなわち、姿勢の力(手を合わすというボディランゲージ)によるためと考えられます。
 
手を合わすというボディランゲージは東洋における素晴らしい所作です。
それと同じくらいに真剣に坐禅をしている姿も、見ている人にきりっとした感じを受けさせるくらいに強力なボディランゲージです。
 
目的・効果を追い求めることなく、ただひたすら坐ることでノンバーバル・コミュニケーション(非言語コミュニケーション)が自然と鍛えられるのです。

坐禅の十徳

一、邪念が起らぬ 二、慈悲心が起る 三、外誘を受けぬ 四、物に拘(こだ)わらぬ 五、智慧が出る 六、五官が静まる 七、忍耐力が出る 八、心が清くなる 九、物に驚かぬ 十、信仰が深まる   (曹洞宗日課経大全)


坐禅の作法

曹洞宗近畿管区教化センター 製作

直心是道場(じきしんこれどうじょう)

維摩(ゆいま)居士が「私は道場から来た」と言うので、光巌童子が「その道場とは一体どこにあるのですか?」と聞きました。
 
維摩は「直心是道場なり、虚仮(こけ)なきが故に」と答えました。嘘、偽りの無い素直な心が道場なのだといいます。道場とは建物という具体的なものではなく、自分自身の心のことをいうのです。
 
実際、直心という素直な心を保つことは容易ではありません。坐禅をしたら何かが得られるだろうと無意識に期待してしまうのが人情です。効果を得てやろうと思わず、姿勢を正し呼吸を調え素直な心でただ坐る、だからこそ自分自身この場が道場になりうるのです。

模範とすべき坐相

澤木興道老師の坐相
 
鑑真和上像
 
方形三尊せん仏
※せん仏のせんは「塼」

道元禅師のお言葉

 坐禅は習禅にあらず。
 唯だ是れ安楽の法門なり、菩提を究尽するの修証なり。
 (坐禅をする姿そのものが悟りである)
 

(普勧坐禅儀)