お盆のいわれ
お盆とは「盂蘭盆(うらぼん)」の略で、サンスクリット語では「ウランバナ」といいます。「ウランバナ」とは漢字で訳すと倒懸(とうけん)、つまり逆さに吊るされる苦しみから救うという意味です。
最近では古代イランの言語で霊魂をあらわす「ウルヴァン」から「盂蘭盆」になったという説が有力です。古代イランから伝わったという話を聞くとなぜかNHKの「シルクロード」の音楽を思い出す私だけではないはずです。
それでは、逆さづりがどのくらいの苦しみなのか逆さづりならぬ逆立ちを試みましたところ、私の場合顔が赤くなり1分も持ちませんでした。
実際の逆さ吊りというのは時間が経つと脳圧が血圧によって高まり意識が無くなってしまうそうです。
それほど辛い苦しみなのです。
目連さんのお話
この逆さづりの苦しみから救う話にこんな話が伝えられています。
お釈迦様の弟子に目連(もくれん)さんという方がいました。
この目連さんは、ふつうの人が見ることのできない世界を見ることが出来る不思議な力を持った方です。
ある日の事、目連さんは亡くなったお母さんの事をふと思い出しました。
「今ごろ何をされているのだろう」
不思議な力であの世を見てみると、なんと!お母さんは餓鬼道におちて何も食べることが出来ず骨と皮ばかりになっていました。餓鬼道とは食べ物を食べようとすると火になって食べることのできないとても苦しい世界です。
「優しかった人が何で餓鬼道にいるのだ!」
目連さんは意外な光景に驚き、そして悲しみました。
「こうしてはおられない。どうにかして助ける方法はないものだろうか?そうだお釈迦さまの所へ行ってみよう!」
と急いでお釈迦さまのもとへ参り教えを乞いました。
「なぜ、私の母は餓鬼道に落ちてしまったのでしょうか?」
目連さんの問いにお釈迦さまは・・・
「そなたの母は、そなたにとって優しい母であったに違いない。けれど、自分の子供さえ良ければ他の子供はどうでもよいという心があったのだ。だから、餓鬼道に落ちたのだよ。」
悲しみでうなだれている目連さんにお釈迦さまは優しく申されました。
「8月15日(7月15日)は修行が一段落する日だ、そなたの母が救われるようみんなで祈ってあげよう。そなたは、出来うる限り多くの人々に救いの手を差し伸べてあげなさい。」
と教えられました。
目連さんは喜び、お釈迦さまが言われた通りのことを行いました。やがて餓鬼道をおおうどす黒い雲のすき間より、スーッと一筋の光明がお母さんを照らし苦しみの世界から幸せの世界へと導いたのはそれから間もなくの事でした。
それからというもの、目連さんを見習って、亡くなられた方々が幸せの世界へ生まれ変わることが出来るようにと、お盆の行事を行うようになったのが始まりです。
お盆の準備
さて、わかるようでわからないのがお盆の期間ですが、丸森では8月13日の夕方、家の玄関先でご先祖様をお迎えする「迎え火」を焚きます。帰ってきたご先祖様が休まれる場所が精霊棚です。8月16日の夕方、家の玄関先でご先祖様を送る「送り火」を焚きます。
お盆を迎えるにあたって、8月13日の迎え火を焚く前までにはお墓掃除を済ませ、精霊棚を作っておきたいものです。さて、精霊棚の作り方なのですが、地域によってバラバラです。正直申し上げて、地域あるいは家によって違うのが現状です。これが正しい精霊棚というのが無いのです。
「これが正しい精霊棚だ!」という情報よりも大切なことは、現在私たちが生きているのは命を繋いでくれたご先祖様のおかげ、そのご先祖様に感謝しお供えする心が大切なのではないでしょうか。
ここでは1、正式に精霊棚をつくる場合。2、スペースが無く仏壇を利用する場合の二通りの準備の仕方を図にて紹介したいと思います。
1.正式に精霊棚をつくる場合
2.スペースが無く仏壇を利用する場合
御霊膳の組み方
■おひらには、主に煮物類、がんもどき・高野豆腐・しいたけ等
■おつぼには、煮豆・煮しめ・ごぼう・れんこん等
■木皿には、つけもの・おひたし・人参・大根(青物)等
御先祖様の乗り物
■ご先祖様が乗ってくるといわれています。
新盆を迎える方へ
瑞雲寺より8月13日から20日の間に新盆を迎えるお宅へ伺い読経回向する予定でおります。(※新盆とは、令和5年6月14日から令和6年6月13日の間に亡くなられた方で、初めて迎えるお盆のこと)
8月13日~15日の16時より瑞雲寺本堂におきまして施食会供養を執り行います。本堂内に入る人数と椅子に限りがありますので1人か2人で来山して頂きますようお願い致します。
施食会供養が終わった後に新盆供養回向證をお渡しします。
仕事で家にいない等、都合の悪い方は電話かハガキにてご連絡下さい。
何時に行けるかどうか確約できませんのでご了承下さい。(※極端に朝早かったり、お昼時、夜遅くに伺うことはありません)
日中は留守にしているが夕方なら大丈夫という方は、瑞雲寺本堂にて8月13日から15日の毎夕18時より施食供養もございます。(※施食供養に来られた方は、こちらから家に伺うことはありません)
お盆の思い出
最後にお盆の思い出をお話して終わりにしたいと思います。
正直に言いますとお寺に生まれた私にとって、お盆は辛い思い出しかありません。
何が辛かったかと言うと、お盆の始まりである8月13日に瑞雲寺山内にある中島公のお墓・歴代住職のお墓・家のお墓一基一基に水の子(洗米・ナス・キュウリなど賽の目に刻んで混ぜたもの)、線香、お花などを100カ所以上もお供えするわけですが、山の中腹にお墓があるおかげであっち行ったりこっち行ったりと激しく体力を消耗し汗が止まらない。そして汗の臭いにつられて蚊に何カ所も刺されてしまう。蚊から逃げるために線香を持って走ると「ボッ」と火がつき手が熱くてしようがない等、本当に辛い思い出しかないのです。
この時ほど友達の家がうらやましいと思った事はありません。
しかしお盆に関して辛い思い出しかない私ですが、なぜお盆をするのか?いわれや由来を知ってからというもの辛さが減ったような気がします。
皆さんも意味がわからないで行うより、少しでも意味がわかってから行う方が快くお盆を迎えることが出来るのではないでしょうか。